訃報:ピナ・バウシュ


訃報:ピナ・バウシュさん 68歳=ドイツのバレエ振付師

 【ベルリン小谷守彦】ドイツのブッパータール舞踊団を率いる著名振付師、ピナ・バウシュさんが30日、死去した。68歳。同舞踊団が明らかにした。死因は、5日前に診断されたばかりのがんとみられる。


 バウシュさんは40年、ドイツ西部ゾーリンゲン生まれ。14歳でバレエの巨匠クルト・ヨース氏に師事後、ニューヨークのジュリアード音楽院に留学、メトロポリタンオペラなどで頭角を現した。帰国後、フォルクバンク舞踊団で活躍、さらに振付師としても活動開始。現代舞踊の新たな様式を確立した。73年からブッパータール舞踊団の芸術監督。


 日本でも数々の公演をこなし、07年に京都賞受賞。舞踊団によると6月21日に舞台に立ったのが最後となった。

毎日新聞 2009年7月1日 東京朝刊)



おーーーーー。なんてこと。
まだまだお元気だと思っていたのに。


2006年の来日公演での「カフェ・ミュラー」では、ピナ自ら出演していて、淡々とした中にも、ものすごいオーラを放っていたのに。一時代を築いたコリオグラファーがまた一人。ベジャールに続くショックです。


心よりご冥福をお祈りいたします。




「カフェ・ミュラー」ピナバウシュ ヴッパタール舞踊団



2006年の来日公演では「春の祭典」を観たくて行ったのですが。初演は1975年。映像で観たことはあったけれど、ライブで観たらもう、身体が凍り付きました。手のひらには汗。あの興奮を、すばらしさを言葉にできない自分の語彙力・文章力が情けない限りです。


下のyou tubeはクライマックスの生贄のシーン(ホントは私はこの部分はちょっと苦手)ですが、ここに至るまでの群衆がサークルを描いてシーンなどは、もう表現できないような熱いものがこみ上げてくるところです。


↓生々しいのが苦手な方は観ないでください。

Le Sacre Du Printemps by Pina Bausch Wuppertal Dance Theater


踊りって本当はこういうものだったんじゃないだろうか。


そう思わせる、カタチや形式ではない、もう本当に人間の身体の奥底から湧いてくる熱や衝動によるもの。それを一番表現しているのは、ピナ・バウシュ春の祭典だと思うのです。ストラヴィンスキーの音楽に潜むものを、もっとも目に見えるかたちにしているのは、ピナの作品ではないか、と。もちろん私一個人の主観ですが。


春の祭典」はかのニジンスキーに始まり、ベジャールピナ・バウシュ、プレルジョカージュ、最近では平山素子さんなども振付に挑戦している、名作中の名作です。


作曲はストラヴィンスキー。楽としての「春の祭典」の筋はこんな感じです。(Wikipediaより)
春を迎えたある2つの村同士の対立とその終息、大地の礼賛と太陽神イアリロの怒り、そしてイアリロへの生贄として一人の乙女が選ばれて生贄の踊りを踊った末に息絶え、長老たちによって捧げられる、という筋である。場所などの具体的な設定は無く、名前があるのは太陽神イアリロのみである。キリスト教化される以前のロシアの原始宗教の世界が根底にあるといわれる。




せっかくなので各コリオグラファーによる「春の祭典」映像を集めてみました。いずれもクライマックスの生贄の乙女のシーン。

(映像はジョフリー・バレエ団による再現 1990年か?)


  • 春の祭典」振付:プレルジョカージュ 初演2001年