東京バレエ団『オマージュ・ア・ベジャール』2


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さて第一部最初の「ルーミー」。白装束のような、スカートとベストを着た男性群舞のダンス。初演は2005年で、『愛、それはダンス』に含まれている。ちなみに「ルーミー」とは、

13世紀イスラム神秘主義者・詩人であったジャラール・ウッデイーン・ルーミーは、”ペルシア語のコーラン”とも呼ばれる詩集「精神的マスナヴィー」を遺し、マウラーナー(我らの師)と呼ばれ、後世に絶大な影響を与えた。彼を始祖と仰ぐメヴレヴィー教団はセマー(旋回舞踊)を行って修行することで知られる・・・
(新藤弘子氏による作品解説「ルーミー」『第12回 世界バレエフェスティバル プログラム』NBS,2009 より)


私は2008年のBBL来日公演でこれを見たのだけれど、そのときと幾分違う印象を受けた。まず、日本人男性ダンサーの線の細さによる、全体の雰囲気の違い。しかしこれは悪い意味ではなく、むしろストイックな感じが、宗教的なこの作品の空気には合っていたと思う。一列に並んでドスドスと歩きながらサークルを描く、ダンサーたち。隊形を変えながら、跳び、腕を組んで廻り、白い衣装が舞い上がる。今後、さらにこなれたらより良くなっていくと思う。


エリザベット・ロスの「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」は、『バレエ・フォー・ライフ』からの抜粋だが、『愛、それはダンス』にも登場する1曲。さすがの凄み、迫力。最初に見たときはあまり好きではなかった(少し怖い感じがするから)けど、何回か見るうちに、ちゃんと見れるようになった。


マノス・ハジダキスの『鳥』は、群舞の女性ダンサーたちがフレッシュでかわいかった。黒いロングスカート、同じく黒いセパレートの五分袖、そして頭には黒頭巾。そして4つ脚の丸椅子を持って踊る。その丸椅子を逆さまにして頭の上に載せたポーズは、椅子の脚がまつげみたいで、曲げた腕が目の輪郭、頭が目玉で、シルエットが「目」みたいだった。


一部のラストを飾る、ジルの「アダージェット」。
第一部では前半ずっと、ジルが舞台上にいて、曲間ではマイクをもってナレーションをしゃべり、作品と作品をつなぐ演出だった。フランス語だったのでほとんど分からなかったけど。