1月9日 中国国家大劇院第三回国際バレエスターガラ

国家大剧院第三届国际芭蕾明星荟萃


日時:2011年01月09日 19:30-
場所:中国国家大剧院歌剧院


出演者

卡门•柯雷亚 Carmen Corella(美国芭蕾舞剧院)
安吉尔•柯雷亚 Angel Corella(美国芭蕾舞剧院)
阿莉娜•约卡鲁 Alina Cojocaru(英国皇家芭蕾舞团)
约翰•科博格 Johan Kobborg(英国皇家芭蕾舞团)
波丽娜•塞姆诺娃 Polina Semionova(紱国柏林芭蕾舞团)
紱米特里•塞姆诺夫 Dmitry Semionov (紱国柏林芭蕾舞团)
艾米莉•科泽特 Émilie Cozette(法国芭蕾歌剧院芭蕾舞团)
斯蒂芬•布里昂 Stéphane Bullion(法国芭蕾歌剧院芭蕾舞团)
弗洛里安•马格内特 Florian Magnenet(法国芭蕾歌剧院芭蕾舞团)
吉约姆•科特 Guillaume Côté(加拿大国家芭蕾舞团)
张剑 Zhang Jian(中国国家芭蕾舞团)
曹舒慈 Cao Shuci(中国国家芭蕾舞团)

プログラム

第1部

  Florian Magnenet / Guillaume Côté /张剑/中国国家芭蕾舞团群舞演员

第2部

  • 索莱亚(Solea)

  Carmen Corella / Angel Corella

  Alina Cojocaru / Johan Kobborg

  • 晴雪(Come Neve)

  Polina Semionova / Dmitry Semionov

  • 鄢天鹅三人舞(黒鳥のパ・ド・トロワ)

  Émilie Cozette / Stéphane Bullion / Florian Magnenet

  • 舞我精彩(We got it Good)

Angel Corella

  • 吉赛尔双人舞(ジゼル2幕よりパ・ド・ドゥ)

  Guillaume Côt / 曹舒慈

  • 狂想曲(Rhapsody)

  Alina Cojocaru / Johan Kobborg

  • 海盗双人舞(海賊よりグラン・パ・ド・ドゥ)

  Polina Semionova / Dmitry Semionov

前日に存在を知ったこのガラ公演。バレエの先生から情報を得て、見に行くことを決意。
そして当日朝、国家大劇院チケット売り場に直接行ってチケットを購入。

残っている一番安い席で600元(7800円)だった。なおチケットの金額の幅は180元(2340円)〜1000元(13000円)である。
また当日朝、テレビのニュース番組をつけていたら前日の公演の模様が流れ、主催者の企画意図のインタビューなどをやっていた。世界の一線のバレエを、クラシック以外も含めたバレエの面白さを知ってほしい、とのことだった。

国家大劇院

国家大劇院は地下鉄1号線天安門西駅に直結しており、アクセスはとても便利。日本の初台駅新国立劇場のような感じである。2007年にできたばかりのこの総合劇場は、オペラ劇場を始めとする複数の舞台を備えている。まさに新国のような施設だが、その派手さたるや新国の日ではない。新国は非常にシンプルなデザインで私は大好きなのだが、世界一般のオペラハウスの中ではかなり特異な地味さであろう。国家大劇院はさすが中国、きらきらのペカペカである。


なおこの施設は天安門広場の西、故宮の南西に位置している。周辺の文化的景観を台無しにするという点で批判もあったそうだ。また、このつぶれまんじゅうのような形態から、皮肉として「明十四陵」*1と呼ばれているとか…。

さておき、中は最新の劇場。そのインテリアはとても豪華。セキュリティーもしっかりしており、入るときは持ち物のX線検査をされ、飲物・カメラの持ち込みは禁止となっている。カメラがある場合、クロークに預けてこないと入れない。もっとも携帯に付いているカメラやiPadなどまでは制限できないので、結局上演中にそれらで撮影をしている人はたくさんいるのだが。1000元、800元のチケットを買える人たちでさえそんな程度の意識なのだから、いわんや…(以下略)。
なお、15元でプログラムを販売していた。


さてようやく、公演の中身について。
個人的にセミオノワの大ファンなので、なにはなくともセミオノワ!!おまけにコジョカルもついてきた(失礼)というくらいの感じで見ていた。

  • アンヘル・コレーラとカルメン・コレーラのSoleaはフラメンコ風で、ノリのよさと高速回転(中国人はこれが大好き)で、度々拍手・喝采を浴びていた。
  • コジョカルとコボーのコッペリア。生コジョカルは初見。さすがの可憐さはさすがだが、あまりにもバランスの見せ場が多すぎてちょっと鼻に付くというか、踊りそのもの邪魔になるというか…。
  • セミオノワ・セミオノフ兄妹のCome Neve。赤いTシャツと黒い短いパンツという衣装のコンテ作品。全然主題はわからなかったが、例えばちょっとコミカルな場面で、観客が声をあげて笑うのに驚いた。日本人だったら絶対、笑わないし笑うものだと思ってすらいないだろう。素直といえば素直な中国人の鑑賞態度。盛り上がる時は盛り上がって拍手や歓声を上げるし、声を出して笑うし。演者にとってレスポンスがあることは悪いことじゃない、とは思う。いきすぎなければ。また礼節を欠かなければ、だが。
  • 黒鳥のパ・ド・トロワ。オディール、ジークフリート、ロットバルトの三人。たぶんガラ用の、あえてストーリーを持ち込んでパ・ド・トロワにした作品。パリオペの三人、悪くはなかったがコジョカルやセミオノワと並べると一段落ちるのは明白。
  • アンヘル・コレーラのソロ、We got it good。またも観客の歓声。
  • ジゼル2幕、中国中央バレエ団の曹舒慈がジゼル。悪くなかったが、心に響くものがないというか。やっぱり中国人のバレエは、なんかどこか機械的、無機的な感じがある。
  • ふたたびコジョカル、コボーのラプソディ。クラシックじゃないコジョカルを初めて見たけど、あまりいいとは…。あ、これも単に好みの問題か。
  • そしてトリ、セミオノワ、セミオノフの海賊グランパ。コジョカルの後にでてくる、セミオノワのでかいことでかいこと。真っ白なセパレートの衣装がまぶしい。かっこよすぎる。背は高いし手足は長過ぎるくらい長いし、ものすごく独特なバランスの肢体。でもそれが絶妙で、これぞ「The セミオノワ」!というカタチである。Peeerrrrfect!今この時代に生きていて、セミオノワというカタチをこの目に映すことができる幸せを噛みしめながら、見た。至福の時間だった。絶対に揺らがない芯に支えられた彼女の踊りは、どこかしら中性的で、力強くて可憐。ああもう語彙が少なすぎてうまく言葉にはできないけれど、とにかく見ていて幸せだ。最後のフェッテは二回に一度のダブル。もっとずっと見ていたいけれど、あっという間に終わってしまった。


留学生活においては、600元の支出はかなり清水の舞台だったが、微塵も後悔なし。まさに僥倖、幸福至福。

*1:北京郊外に「明十三陵」という明代皇帝のお墓があって、文化財として保存・公開されている。お墓はその中心に、大きな土盛りを備えている。十三個の皇帝陵があるわけだが、国家大劇院のことを、その周辺の文化的景観の破壊という文化財保護と真逆の性格から、皮肉って「十四番目の陵」と呼んでいる人がいるそうだ。