嘉峪関編・2

懸壁長城

 長城第一墩から20分。「懸壁」とは、この長城が鉄壁を空に引っかけたように見える、ことから命名されているらしい。元は明代のものだが、現在あるのは1987年に整備されたもの。頂上まで登るのに40分ほどかかった。

長城は黒い岩山の上に建てられている。

ところどころ、レンガが崩れていて危ない。

脇で羊さんたちが放牧されていた。やたら目があったので、ぱちり。

近くには、羊を追ってきているおじいさんが丸くなって昼寝していた。

黒山岩画

 懸壁長城脇から未舗装の砂利道に入って、20分。ただ川べりにあるだけなので、入場料等は必要ない。黒山岩画は黒山峽の岸壁に彫られた岩画で、その時期は新石器時代〜戦国時期くらいまでと言われている。遊牧民らしい狩猟や舞踊などの絵が描かれている。…らしい、が、運ちゃんが知っていたのは一ヶ所だけ。結局一ヶ所しか見ることができなかった。

嘉峪関景区

 黒山岩画から20分。嘉峪関長城文化旅游景区に到着。運ちゃんが、自分はここで帰る、ここから市内はタクシーで10元で帰れるから、自分への支払いは290元(当初の300−10)でいい。と言い出す。おいおい、と思ったが、ここは見るのに2時間くらいかかるから、とのこと。しょうがないので承諾する。実際、見るのに2時間かかった。


なぜかある、林則徐の像。と思ったら、新疆に左遷される際、ここ嘉峪関で詠んだ歌があるらしい。「出嘉峪関感之賦」。なお、この林則徐像の周囲に、黒山岩画をテーマにした公園がある。

敦煌旧塞委荒烟,今日阳关古酒泉。
不比鸿沟分汉地,全收雁碛入尧天。
威宣贰负陈尸后,疆拓匈奴断臂前。
西域若非神武定,何时此地罢防边。


池は凍っていて真っ白。

馬道。斜面の部分は、荷を載せた馬が通るために作られている。

嘉峪関、そのものは最近の修繕でぴかぴか。あまり風情がない。しかし足下を見ると、摩耗した石畳が。おそらく馬車の車輪で削られた跡。建物は修理してあるが、床石はそのまま古いものを使っているらしい。古ければ明代のもの。まあ、わからないけど。

そしてこれが「嘉峪関」。この門の外で、馬やラクダに乗れる。もちろん乗らないけども。

そして景区内に、長城博物館がある。展示はなかなか充実していて、嘉峪関だけではなく西北地域各地にのこる長城について知ることができる。展示物のうち木簡などはほぼ複製品だが、じっくり見る価値のある博物館である。


このあたりは宋代には西夏の領域であったため、西夏の陶器なども並ぶ。西夏の陶器は独特の風情があって、けっこう好き。粗っぽいけど品がある。


 チャーターした運ちゃんの言ったとおり、嘉峪関景区からホテルまで10元で戻ることができた。4ヶ所見終わって、この時点で15:40。嘉峪関の主要観光地は、1日あれば回れる、ということだ。夕食は清真食堂で、炒拉条8元。無料でついてくる牛ダシのスープが旨かった。